秋の虫2006-10-01 11:21:16

昨日ちょっとした出来事がありました。

最近すっかり秋らしくなって来たよね。外では秋の虫達が鳴くようになって、もう結構時間が経っていると思うけど、すっかりそんな事は意識する事もなく過ごして来ました。そう言えばいつの間にか蝉達の鳴声も聞こえなくなっていたなぁと思ってます。

昨夜、東京メトロに乗った時の事です。友人を送って行く事にして、都心からメトロに乗りました。実はこの日は既に夜も遅かったし、僕の帰り道とは全く正反対の方角でもあるので、その友人を送って行くのに少しためらいがあったのです。でも、一方ではもう少し一緒にいたいと言う気持ちもあったので、送って行く事にしたのでした。

僕は切符を買って、ホームに降りて行きました。ちょうどタイミングよく電車が来たのですが、切符を買っている間にその友人とはぐれてしまい、その電車に乗るべきかどうかためらっていたのです。周りを良く見渡して、ホームに友人がいないようなのを確かめて思い切って電車に乗り込みました。ちょうどそのとき、タイミングよく友人から携帯に電話があって、僕は友人に電車に乗った事を伝えました。とりあえず友人とは着駅で待ち合わせる事にして、僕は空いた席を探して社内を移動した時です。ふと一角が空いている席が見つかって、その方に向かってみると、何やら小さい黒いものが席の上に留っているのが見えました。よく見るとどうやら小さな虫のようでした。特別虫好きではないのだけど、何となく気になって、僕はその虫のいたとなりに座りました。

さて、良く見るとその虫はコオロギでした。こんな都心のメトロの社内になぜその虫がいるのかは分からないけど、じっと動かず留っているその虫を見ていたら、なんだか守ってあげたくなって、次の駅から乗込んで来た女性がちょうどそこに座ろうとしたのを制して、ここに虫がいるので気をつけるように伝えたのです。

それから、そのまま何とか終着駅まで虫には何事もなく着いたのだけど、この先このコオロギ君がじっとこの席に留まったら、まず間違いなく人に踏みつぶされてしまうだろうと思えたのです。僕は終着駅で降りる際にとっさにコオロギ君を手のひらで包むように捕まえると、別の電車に乗換えました。

ちょうど友人が見つかったので、僕らが降りる駅で、コオロギが僕の手の中にいる事を伝えました。幸いな事に都内でもその駅前にはロータリーがあって花壇のようになっていたので、コオロギ君を無事にその芝の中に降ろしてあげる事が出来ました。

手の中からそのコオロギが出て行く際は、何となくなかなか降りようとしないような感じだったのですが、ちょっと時間を置いて、草むらの中に消えて行きました。きっとこの先無事にあのコオロギは寿命を全うするだろうな。そんな風に思っています。

僕は無宗教だけど、きっと神様が僕とコオロギを出会わせたのだろうと思っています。

何となく秋の虫達に愛着を感じた夜の出来事でした。