バッタの命 ― 2009-11-01 18:56:40
秋も深まり、庭に虫が飛び跳ねています。 僕の庭の片隅には洗い場があって、普段書道の練習後はそこの蛇口で筆を洗ったり、硯を洗ったりしています。 それ以外でも庭に水やりをしたりするなどよく使っている蛇口です。 その蛇口の近くにプラスチックのバケツがいくつかおいてあり、最近降った雨水がバケツにたまったままになっていました。 そんな中庭を飛び跳ねているバッタが、ちょうど僕がバケツの前にいる時に、うかつにも水のはったそのバケツに飛び込んでしまいました。 バッタは水の中でもがきながらも必死にバケツから外に出ようとしますが、自慢の後ろ足も水中でもがくばかりでどうにもなりません。
まさか水中に落ちるとはきっと思いもしなかっただろうと思います。哀れなバッタはそのうちもがく事も出来ずにおとなしく水に浮くばかりとなりました。
僕はそのとき、洗濯物を庭に干すために何気なく外に出たのです。目の前でバッタが水中に飛び込み、半ば自殺をするように死に行く様子を黙って見ている事が出来ませんでした。
多分何日か前に同じ様に水中に飛び込んでしまったバッタだと思いますが、既に息絶えて水中に没しているものもいました。 今まさに目の前で死にかけているバッタを前に、生き物の命を感じ取ったのか、何となく助けてやりたい気持ちに駆られて、僕はまだ水の上に浮いているそのバッタをバケツから出してやりました。そっと草むらの上におくと、そのバッタは元気そうに跳んで行きました。
その日の午後 今度は書道の筆と硯を洗いに、その洗い場に行くと、洗い場の中に一匹のバッタがいました。そのバッタには右足がありませんでした。そのためでしょうか?必死に洗い場から外に飛び出そうとするのですが、飛び越える事が出来ずにいました。
別にバッタの気持ちがわかる訳ではないけれど、僕にはそのバッタが何とも困ったと言う顔をしている様に見えました。 こいつもそっと洗い場の外に出してやりました。そのバッタはそのまま飛び跳ねてどっかへ消えて行きました。
今日はやけにバッタを助ける日だ。 最近小さな命がやけに気になるのだけど、なぜなのでしょう?
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